「デッド・キャット・バウンス」(Dead Cat Bounce)は、金融市場で使われる格言で、株価が急落した後に一時的に回復が見られる現象を指します。私も金融関連の勉強をしてから初めて知った言葉です。「死んだ猫でも、高いところから落とせば、跳ね返る」という例えです。
一時的に回復する理由はいくつかあるそうですが、一番わかりやすい理由は「投資家が割安になった株を買って再度上がった際に売り抜けて利益を得るため、下落時に株の買いなおしが集中し、一時的に回復する」というものです。ある程度株があがった際にすぐに売りに転ずるため、その売りが集中する事で、また株価が急落します。急落すればまた買って売るという事を繰り返す事で、何度も乱高下が起こるのです。
この手の投資家は短期の売り買いで利益を得る事を目的としていますので、初心者が”株があがった”からと参入すると大怪我をする可能性があるという戒めも含まれます。市場の回復力が強ければ、乱高下しながら株価は全体的には右肩上がりで再度高値を目指します。ただし、市場が弱ければ乱高下しながら株価は全体的に右肩下がりで底値を目指す事になります。
リーマンショックはまさにこれで、私が2007年4月に加入した企業型DC「三井住友・DC外国株式インデックスファンドS」(基準価額推移は下記)では、2007年7月に高値をつけた後、乱高下しながら全体的に右肩さがりで2009年2月に底値になりました。

2024年8月の日経株価大暴落(仮称:植田ショック)の動きも、まさに似た状況です。2024年7月11日に終値42,224円の最高値をつけた日経平均株価は、8月5日の大暴落で終値31,458円(最高値から▼25%減)を付けた後、再度大幅の上げに転じ8月14日の終値では36,442円まで回復、デッド・キャット・バウンスとなっています。このまま右肩上がりで再度最高値を目指すのか、右肩下がりで底値を目指すのかはわかりませんが、その高値を付けたのが奇(く)しくもリーマンショックと同じ7月という事で、当時の記憶が蘇ってきます。

ところで、何故”Dead Cat”と猫なのでしょう?”Dead Dog”でも ”Dead Mouse”でも、高いところから落とせば跳ね返るはずです。この言葉を知った当初は「生きた猫(=好況期)は自分で大きく跳ねる(=株価があがる)事ができるが、例え死んだ猫(=不況期)でも高い所から落ちれば、落ちた反動で跳ねる」という例えで、”暴落後の反発は注意すべき”という戒めだと思っていました。
2024年8月の日経株価大暴落後に、またデッド・キャット・バウンスという言葉が使われたので、今回詳しく調べてみました。どうも本来の由来は「(生きた)猫は高いところから落ちても、必ず足から着地して怪我はしない」という事を捩(もじ)り、「(生きた)猫でも余りにも高いところから落ちれば、地面に落ちて大きく跳ね返り、大怪我をする(死んでしまう)」という事らしいです。つまり急激な下落相場のさなかに一時的に株価が反発する局面もあるが、それに乗っかると大怪我をする(死んでしまう)という戒めの言葉という事です。生きた猫が高所から落下して怪我をする(死んでしまう)という、ちょっと残酷な例えの戒めでした。
日本の諺に「猫を殺せば七代祟る」というのがあります。猫は執念深い動物であり、殺すと子々孫々まで祟りで悪いことが長く続きという意味です。リーマンショックではデッド・キャット・バウンスが起こった後、長く市場低迷という悪夢が続きました。株価が元の高値に戻るまで7年近くかかっており、「猫を殺せば七年祟る」ということでしょうか…

